
アントニー・マンの『フランクを始末するには』を読んでみました。
だいぶ前になりますが、新聞の書評でかなり高評価だったので、なんとなく買ってみたはず。
作者は、ほぼ無名のオーストラリアの作家らしいですが、12編の小気味のいいブラックな短編が集まっていて、いわゆる “奇妙な味” に分類してもいいようなタイプの作品がほとんど。 一見、軽いノリのミステリ風なので、そうだと思って読んでいると意外な目に遭うかも。
原著の表題作でもある「マイロとおれ」は、赤ん坊を相棒にして殺人事件を捜査する警察もの。 と、いっても、シングルファーザーが子育てに奮闘しながら活躍するはなしなどではなく、ほんとうに赤ん坊が相棒として出てくるバディーもの。
「緑」は、勤労監視団(ワークポリス)に、それとなく働くことを説得され続けている無職の若者が、街の景観を保つための暗黙のルールに抵抗する話。
「エディプス・コンプレックスの変種」は、チェスをテーマにした不思議な味わいの話で、非常にオチが効いている。
「豚」は、超大金持ちのセレブと付き合うことになった夫婦の話で、金持ち夫婦の倫理観のズレに驚かされる。
「買いもの」は、買い物リストだけで進行するアイデア勝負の一発もの。 でも、やったもの勝ち。
「エスター・ゴードン・フラムリンガム」は、死亡した作家の代作をすることになった男の話で、ミステリ業界の裏側を面白おかしく書いている。 世界の隅々にまで進出している、ミステリ小説の探偵が笑いを誘う。
「万事順調(いまのところは)」は、静かに、誰にも気付かれずに進む復讐譚。 いまのところは、というのがミソ。
表題作の、「フランクを始末するには」は、超大物俳優を殺す話なのだが、理由が奮っている。 ふつう思いつかないよな。
っていうか、現実に、こんな風に考えてる業界人っているのだろうか。
「契約」は、ある事情を抱えた大人たちが、ある契約を交わすか交わさないかで逡巡する話なのだが、ちょっと判りづらいか。 でも、判ったとたん、いや~な感じがしてくる。
「ビリーとカッターとキャデラック」は、腐れ縁で付き合っている飲み仲間どうしの賭けの話。 これもオチが効いている。
「プレストンの戦法」は、これもチェスを題材にした話で、純粋に面白い。 ラストは、まぁ、そうなるよな・・・・・・。
「凶弾に倒れて」は、父親を凶弾で失った少年の、一種の復讐物語。 やるせなく、この先が気になる。
と、いった12編で、なかなか面白かったです。 やっぱり、奇想にとんだ話というのはいいですね。
特に、「緑」、「豚」、「契約」、「凶弾に倒れて」あたりは、現代の厳しくなる一方の、歪んだ愛護精神や、マスコミの狂ったお為ごかしを揶揄していて、なるほど、オーストラリアに住んでいるからこその発想かな、と感じましたね。 非常に現代性、批判精神も感じました。
自分が読む本は変り種が多いですが、これは、手放しでお勧めですよ。
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- 2014/08/21(木) 18:15:19|
- 本、コミック感想
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気が早って描き始めてしまって、ある程度のところまで行ってしまったのが前回。
これではいけないと、事前に考えていた進め方(
1回目参照)に立ち戻るため、改めてイデオンから第六文明人をデザインしてみる。
と、いっても、原作アニメのイデオンからではなく、進めてしまった、土偶イデオンからなのだが・・・・・・。
で、やるなら、ちゃんとアニメ版からフィードバックさせたほうがいいし、無意味な作業になるかも、と思いつつも描いたのがこれ。

*例によって左から右に順に描いてます。
まず、左端から。
素っ裸がイデオンに近いフォルム、というのも一瞬考えましたが、それこそ土偶や埴輪なんかも服を着た状態なわけだから、そこから逆算して考えれば、第六文明人だって、自分たちの服着た姿を模してイデオンをデザインしてても全然おかしくないはず。 しかも、ここは初めの予定通り、地球でいう古代人風ということではなく、じゅうぶん文明的な格好でデザイン。
特徴的な肩の出っ張りは、服のデザインの一部で、ここでは、小物入れになってたり、チャックが付いていて収納可能スペースがあったりと実用的な利用法を考えてみた。 全体としては、土偶イデオンのフォルムと装飾を服に変換。 顔の部分がマスクとフードで一部しか見えてないのは、一応、アニメのイデオンのゴーグル部分を意識してのこと。
となりは、服を脱がせたところ。
地球人やバッフ・クランの元になった生命体だったとしても、まったく同じでなくてもいいだろうと、こんな顔に。 とりあえず怖い。 肩は、申し訳程度に出してみた。 手足も、人とは違う形にしたが、これは、イデオンに反映されてない以上、違うだろうということで、即却下。 首の輪は、たぶん、描き初めにはインナーぐらい着せようとしてたのかな。 全体的に、以前自分で描いた
ガニメアンぽいかもしれない。
そのとなりの頭部のみのものは、イデオンのトサカ部分を、第六文明人の髪型として考えた場合のバリエーション。 土偶イデオンの、マサカリみたいな頭部のトサカも、髪を結ったチョンマゲスタイルを模したものを想定しています。
そのとなりは、手足を修正して描き直した、雑な全身像。 いちばん右は、もうちょっとイデオンに似ないかなと、フォルムやバランスを弄ってみたもの。
とりあえず、この後、これらを参考に、土偶イデオンの細部に変更を加えていくことになります。
と、いうわけで、3回目はここまで。
テーマ:自作イラスト(二次創作) - ジャンル:アニメ・コミック
- 2014/08/21(木) 07:36:13|
- ガンダム&イデオン
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