
アーサー・C・クラークの『都市と星』の新訳版を読んでみました。
これは、たしか、ネットでディストピア系のSFを紹介し合ってるまとめ記事で知ったか、
前に読んだ『都市と都市』にタイトルが似てる関係で偶然知ったかなにかだった気が。
で、どうだったかと言えば、
とても、凄く、面白く、展開にすこぶる興奮した。
ああ、読みたいSFってこういうのだ、とつくづく思ったし、
最後まで、どこも濁さずに提示される未来(展開上明かさない部分はあるけど)に溜飲が下がったね。
やや青臭いとも思えるテーマや定番過ぎて古臭い設定、展開も新訳のおかげか、
気にならなかったのみならず、好もしいとも思えたし、『幼年期』のときの宇宙に出た子供たちは不気味だったけど、
やっぱり、人間たるもの目指すは銀河の果てなのだなと。そして、未知の知的生物と会うと。
あまり具体的には触れたくはないんだけど、やはり、ダイアスパーからの脱出のくだり、
リスに着いてからの展開。特にシャルミレインで出会う知的群生生物あたりがいい。
ベニクラゲの不死が不老不死生物のアイデアとして既に使われている驚き。
その後の、宇宙でのやり取りや出会いの衝撃。さらに、遥かな過去を知るためのアイデア。
やはり、凄いとしか言いようがない。
それにしても、何故、閉じこもり期間が10億年だったんだろうか。あまりといえば、あまりの長さ。
銀河帝国の勃興から崩壊まで、さらにそれらが伝説に置き換えられるまでの時間には、それぐらい必要なのか。
その間に地球が消滅しちゃいそうな気もするが、それは何らかの形で回避されてるのかな?
それと、歯や爪は要らなくならないだろうなぁ、たぶん。
個人的には、未知の生物の造形や、運転手ロボットとその船がよかったですね。
知的精神体については、空間に脳神経ネットワークのパターンを物質以外で描き込むという、
画期的ともいえる、なるほどな説明がされていましたが、
非物質だとしても、一つのものとしてまとめる(閉じ込める)器は必要なだろうなという気はした。
とにかく、手放しでお勧め。
テーマとしては古いのかもしれないけど、読んで損なし、驚くこと必至。
クトゥルーとの意外な関連もあったりして、そっちも広げて欲しかったりもした。
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テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌
- 2018/03/30(金) 12:53:45|
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