
『ユリイカ』の江口寿史特集を読んで、参考文献が面白そうなんで買った1冊。
いわゆる、日本のマンガ界におけるニューウェーブとは何ぞや、という特集。
とにかく、江口と浦沢の対談が面白かった。とんでもなく。
30頁近く(写真だけのページも複数ありだが)のロング対談中、大友やメビウスらを語りまくり。
いかに大友が当時のマンガ界に変革をもたらしたかがよく判る内容。
なんたって、今までとは、絵も内容もあんまり比較対象がないようなものが急に(実際には急にではなく、
雑誌に特集が組まれたりして、ある時マンガ読みに知られるようになった、ということ)出てくるんだから、
それはプロでもそうとう驚いたろう。
浦沢の分析によると、単に絵が上手いとか、表現やセンスが凄いとかだけではなく、
それらの技術が非常にマネしやすい端的なもので、一目見て「なるほど」とその場で取り入れられるのが凄いと。
たしかにマネした、大勢のマンガ家が即取り入れた。顔のここに線を入れるとこうリアルになるのかとか、
ここに影をスッと引くと立体に見えるのか、とか。それこそ、笑っちゃうぐらいに。
で、浦沢は一時期心酔して影響受けまくりで分析しまくったらしいけど、江口は歳も近いから悔しかったんだと。(笑)
それでも、やっぱり、なるほどこう描くのかってマネしたらしいけど。
そのほか、絵以外のことや、当時の他のマンガ家のことなんかも触れていて、かなりのボリュームではあるんだけど、
『ユリイカ』とかみたいな雑誌丸ごとの特集じゃないんで、そういった意味では、もっと読みたかった。
2人とも、資料いっぱい持って来て語る気満々なのに、雑談スタイルなんで脱線しまくりで頁かなり無駄にしてるし。
もっと、このコマのここ! とかやって欲しかったんだけどな。多少はやってるけど。
まあでも、かなりあけすけに語ってるんで、読んで損なしです。
ほか、同特集では、いしかわじゅんと評論家の人の対談と、キーワード辞典もあって、どっちも面白いです。
ニューウェーブがいかにして生まれていったかがよく判るものになってます。
これを読むと、当時の自分は、ニューウェーブ以降の絵だけが好きで、
ニューウェーブ系のマンガ雑誌しか読んでなかったのがよく判った。
それにしても、ニューウェーブに含まれる作家の人ってかなり広範囲なんだね。知らなかった。
特集以外は、連載記事や各種レビューなど満載ですが、いかんせん中途半端に古い雑誌(09年8月発行)なんで、
情報に鮮度がなくって多少キツイっす。(和田誠とか面白いものもあるけど)
巻末の特別再録マンガ、山上たつひこの「夜歩く」は、意味合いとしては特別のものなんだろうけど、
絵がね・・・・・・・、苦手です。(スイマセン)
と、こんな感じです。
安く手に入ったら読んでみるのもいいかもね。
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テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌
- 2018/06/15(金) 09:58:44|
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