
久々の諸星作品です。
ネットで別の作品を画像検索で見ていたら、「マンハッタンの黒船」の画像を見つけて、
これは・・・・・・、とムクムク興味が湧いて、含んでいる作品集購入です。
7作中2作読んだものが入ってたんですが、それも含めて面白かったですね。
もう、ほんと、諸星作品でしか味わえないテイストが必ずあるんで、なに読んでも満足ですよ。
既に読んだ、「男たちの風景」、「生物都市」も改めてよかったし、
特に、「生物都市」の絶望感と安堵感とSF感のないまぜになった感じ。
これが、実質のデビューとは恐るべきですよ。
また、「失楽園」等のモチーフのある作品のこなれ方。
楽園のシステムが『都市と星』と似ているのは、偶然読んだばかりだったんで判りましたが、
まったくイメージが違うものに消化されてるのがさすが。
並みの作家だったら全体にイメージ頂いちゃうと思う。
また、「アダムの肋骨」の異星のイメージや何とも言えない恐怖感。
「貞操号の遭難」は、SF描こうと思ったら一度は思い付くようなアイデアだけど、
たぶん、いざ描いても、ここまで上手く出来ないと思う。異星生物の設定がよく出来ている。
「詔命」は、これぞ諸星調の伝説や神話モチーフの1本。
話や雰囲気もよく出来ていてかなり好きですが、元ネタの柳田邦男の一つ目小僧についての考察は、
現在は完全に否定されているようです。(柳田邦男は年々評価が下がってくな)
そして、「マンハッタンの黒船」。
怪作ですよ。
タイトルの通り、幕末の黒船来航を日米逆転して描いたパロディーなんですが、
はじめ、登場人物の名前だけで笑って読んでたのが、永世大統領が出てきた辺りで得体の知れない感じになり、
最後は、めまいがするような、毒気にあてられたような、何読まされたんだこれはという感じ。
まさに、今読んでもらいたいような、もらいたくないような。
ハリウッドで映画化もいいかも。
解説で、珍しく自ら元ネタやソースを開陳してるんですが(わりと具体的に)、
その、ひとつの作品にたくさんのネタやパロディーを落とし込んでく感じが、
案外、大瀧詠一っぽい感じの作風の人なんだな、と思いましたね。
興味がある人は是非。
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テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌
- 2018/07/25(水) 09:37:22|
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