
桑田次郎が亡くなって、ファンの追悼ツイートが溢れた中に、
『デスハンター』なるマンガに関するものがけっこうあって、
やれ、トラウマだ、やれ、グロいだと色々書かれていたんで気になって調べたら、
なんと、それを小説にしたのが平井和正の『死霊狩り』だっつーじゃないですか。
ああ、そうだったのか!! と。
実は、この『死霊狩り』、学生の時に友達から「面白いから読みなよ」と散々勧められていたのだ。
が、そのころ人から勧められたものを素直に受け入れられないヒネたところがあって結局読まなかった。
(『ウルフガイ』、『サイボーグブルース』なんかは読んでた)
そしたら、今、俄然読みたい気がしてきて、今更になって読破ですよ。
うん、読めてよかった。
簡単にストーリーを説明しますと、
あるとき、宇宙から寄生型の生命体が地球に入り込み、大国の中枢にまで侵入していたことが発覚。
このままでは人類は全員乗っ取られてしまうので、その絶滅を目的とした集団を結成し対抗していく。
とアウトラインとしてはこんな感じ。
その宇宙生物をゾンビー、狩る側をゾンビーハンターと呼び、
ゾンビー(緑色のスライム状)は焼き払わない限りほぼ不死身。そして寄生された人間は超怪力のスーパーマンに。
なので、ハンターの方も超人的な生命力の持ち主と圧倒的な運を持っているものに資格がある。
こう書くと、あたかも勧善懲悪なヒーローものを想像するかもしれませんが、そうじゃない。
ここが、読んでて思ったのと違うと感じた部分でもあるんだけど、
あくまで、人類ダメ小説ということなんで、全体を読めば何が言いたかったのかは一目瞭然。
勿体ないけど、描くべき所はそこじゃなかったのねと。(俊夫たちの活躍はもっと見たかったよね)
ただ、ラストのゾンビーの告白には、今読んでもショックというか、
この使い古された設定にこのパターンをしかもこの時期にか、とぐうの音も出ない感じ。
う~ん、傑作でいいんじゃないんですかねぇ。
ほんと、3巻読んでても、このまま終わって話纏まるんかいと、
やっぱり古い作品だなと思ってたんですけどね。
で、実は、
実はですね。
本当にビックリしたのは、ラストでもテーマでもないんですね。
これ、ほんと、ビックリしました。
主人公、田村俊夫の師匠格のハンター、林石隆(中国人)が、
なんと、北斗神拳使うんですね。
もうビックリです。
さすがに内部から爆発したりはしないんですが、(念仏の鉄風の動きを封じる系です)
「経絡秘孔、人体にはこうしたツボが七百八あって・・・・・・」
と、ちゃんと説明してます。
まさか、『北斗の拳』って、ここの部分にも元ネタがあったなんて・・・・・・。
それにしても、犬神明の指弾といい、平井和正はどこからこういうネタ拾ってくるんでしょうか。
なんか、あんのかな、古い小説とかに。
ほかにも、他作品へ影響を考えると、『寄生獣』や、『ゴクウ』なんかも入ってきますかね。
影響ではないけど、寄生される側の問題がフィードバックするのは『ヴェノム』に近いし、
人間ダメ作品としては、『マーズ』も近い。
とにかく、元の『デスハンター』が69年なんで、『600万ドルの男』だろうが何だろうが、
70年代のものはすべて遅いわけです。(別に起源を主張してるわけじゃないっすけどね)
なかなかですよね。
最後に、もう少し感想を書くと、
林先生には生きていて欲しかったかなぁ。死ぬ気がしなかったんだけどでもそうなんだよな。
俊夫たちは生きてるんだろうな、たぶん。
と思ったら、マンガの方は続きがあって、生きて話が続くんだそうで、
その小説バージョンもあるんだとか。読みたいようなそうでもないような。
ただ、サイボーグとしての俊夫の活躍の方は見てみたかった。
(どうでもいいけど、なんでアラスカで赤外線アイ使わなかったのかは不思議)
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テーマ:読んだ本の感想等 - ジャンル:小説・文学
- 2020/11/13(金) 07:53:05|
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