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イラスト&コミックのサイト「GENユニバース」の管理人GENのブログです。

伊豆の踊子 (新潮文庫)

91nxd8YL6nL.jpgそもそもの発端は、NHKで松本清張没後30周年でドラマの再放送があったことで、
そのなかの、『天城越え』の放送が短かく、合わせて清張特集の『新日本風土記』の放送もあった。
このなかで、実は、『天城越え』は、川端の『伊豆の踊子』をひっくり返したような作品との紹介が・・・。
で、アレ?、そういえば、『伊豆の踊子』といえば、MXで映画やるんじゃ・・・、と調べたら、数日後。
これはちょうどいいと、吉永小百合主演、日活版『伊豆の踊子』を観たわけです。

『伊豆の踊子』の話自体をちゃんと最後まで見たのは初めてで、
だいぶ原作とは違うんだろうなとは思いつつ、その果たされることのない淡い恋愛感情に感動。
すっかり魅了されてしまい、これは原作も読もうと、しかも、映画の余韻があるうちにと即注文。
なんですが・・・・・・、せっかく、大きい店にしたのに(アマゾンから中古です)発送までが長ぁ~い!!(笑)
しかも、配達予定日も何故か4、5日後。しかも、さらに2日ぐらい遅れやがりまして、10日のうちに余韻は切れぎれに。
それでも、読み始めましたら、うおぉ、序盤のシーンの再現度はかなり高かったんだな、とか蘇りました。

で、この新潮版には、200ページ(小説部分は174ページ)そこそこのなかに4編収録されているので順々に。
まずは、「伊豆の踊子」。
先に、日活版の映画を観てからだったんで、かなり短く感じましたが、
その端的な物語の中にギュギュっと要素が詰まっていて非常に印象的。
映画よりはるかに主人公の感情がきめ細やかに伝わってきて、感動も若干種類が違う趣き。
川端のそれまでの半生を考えると、主人公は、単なる都会のボンボンではなく、
深い悩みを抱いて伊豆に来ていることが判り、ラストは、希望と哀切がない交ぜになった複雑で少し不思議な感じも。
(ただ、年下の少年に抱きついて泣きながら寝るつーのは、どうなのかね。
ちょっと、そっちの趣味出ちゃってるよね。そら映画ではカットされるよね)

で、今回、また川端作品を読んで感じるのは、名文とは端的であることなんだなということ。
文が端的で短いんだけど、過不足がない。
語り過ぎることもないけど、不足するということについては絶対にない。間違って伝わることもない。
その辺りのこだわりについては、以前読んだオノマトペの本に、
“ことこと笑う”が何故“ことこと”なのかについて解説してあって面白かったですね。
やはり、名作でした。
主人公同様、心が洗われます。

次は、「温泉宿」。
これは、「伊豆の踊子」と舞台が同じ作品ですが、結構えぐい衝撃作。
生々しいですね。
話は、温泉宿の女中たちと周辺の酌婦(売春婦)や労働者の悲喜こもごも。
この本の中では、いちばん記憶に残った作品かも。
途中まで、お雪が第2の踊り子になりえるのかな? と期待してたんですが・・・・・・、
お雪は、小さいころから苦労し過ぎたようです。
解説で三島も言ってましたが、処女性の題材が巧みですね。
なんというか、そういう性的な部分がかすめることで緊張感が生まれて、
まるでサスペンスのようなドキドキ感すらあります。
ちなみに、調べ方が悪かったのか、あまり指摘されてるのを見なかったんですが、
日活版『伊豆の踊子』の原作にない追加シーンは、この作品から取っている部分がいくつかあります。

次は、「抒情歌」。
これは、新感覚派らしい作品ということなのかな。
かなり不思議で心霊的、衒学的でもありますね。
かつての恋人が亡くなったことを知らせなく知った主人公の独白。
面白いですが、前2作とは全然趣きが違います。

最後は、「禽獣」。
これは、怖かったです。
人より動物の方が好きな主人公が様々な動物を愛でる話ですが、
その可愛いはずの動物の扱いが、ハラハラするほどぞんざいで、
まるで、連続猟奇殺人犯の日常を見るよう。
もちろん、わざとそういう書き方にしてるんだろうけど、
当時の倫理観の反映も手伝って、より怖い感じがする。

このあと、注釈があって、竹西寛子と三島由紀夫の解説あり。
新潮版にしたのは、この三島の解説があったから。
ただ、難しかった。解説の解説が欲しい。(笑)

そのあとに年譜。
もう、このヒストリーが小説のようで、グッときます。
ガスだったんですね。



ちなみに、「伊豆の踊子」を読んだら、もう一度映画で確認したくなっちゃって、消さなきゃよかったと大後悔。
地デジだとヘタするとDVDより画質きれいだしね。
ということで、確認したくてDVD買っちゃいました。
くしくも、本買ったところと同じ店だったんですが、ま~た配達予定が長くて、
と思ったら翌日来ました。(笑)
どうなってんの??
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テーマ:読んだ本の感想等 - ジャンル:小説・文学

  1. 2022/07/01(金) 08:54:28|
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