<注意!!ネタバレしております>最悪の読後感を補償する小説「隣の家の少女」の作者、“ジャック・ケッチャム”の処女作にして食人ホラー小説の金字塔、「オフシーズン」読了。
まぁ、これも相当にえげつない話でしたね。
頭のおかしい連中に不条理に囚われて、精神も肉体も文字通りズタボロにされるのは「隣の家~」と同じですが、肉体的な苦痛や残虐スプラッター表現がダメな人はコッチの方が嫌かも。
もっとも、コッチは加害側が“只の人間”ってトコが共通するだけでほぼバケモノなんで、リアリティーの面では遥かに「隣の家~」の方が上。
なんで精神的ダメージはまだ薄いかもしれませんね。
80年代のホラー、スプラッター映画を経験してれば尚のこと。
しっかし、エグイです。
そして、巧い。
小説としてよく出来てます。
もちろん、デビュー作の上無理やり改竄させられたんでやや構成が早足な部分はあります。
登場人物の事態の飲み込みが早いし英雄的過ぎる部分もあります。
食人一族の行動も不用意な部分多いです。
だけど、グイグイ読める止められないスピード感と心理描写の巧みさは買えます。
本格的に一族が出てくるまでに半分近く掛かりますが、それまでのカーラの丹念な描写がジワジワと来るタメになって、一旦コトが起き始めてからの決壊した暴力の止まることのない放流の凄まじさは、映像的で相当強烈。
そして、切り裂かれる身体、粉砕される四肢や頭、串刺しにされ焼かれる女・・・・・、と、度が過ぎて一瞬笑いすら込み上げてくる(全く可笑しくはありませんが)ほどの残酷描写・・・。
特に洞窟に連れ去られてからのローラへの虐待は、とてもじゃないが感情移入なんかさせて読めない代物。
反吐の出る嫌さ加減は、感情をオフにしてようやく通り過ぎられるレベル。
特に、舌のくだりは・・・・。(っ最悪だ!!)
さらに、救いようのないラストも待ち受けていて、もうね。
気になる人は読んでみてください。
で、「隣の家~」を読んで、もうケッチャムは読まないと決めたのにまたまんまと読んでしまったのは・・・。
ブックオフで見つけてしまったからというのもありますが、この話が「隣の家~」同様、実話に基づいているから。
まっ、実話というか半ば伝説なんですが、14、5世紀のスコットランドに“ソニー・ビーン”という人食い一族を率いた男の話がありまして・・・。それに着想を得ているというんで、ケッチャムはこの眉唾の話をどう解釈して、どうリアリティーを与えたのか知りたかったわけです。
結果は、知りたいようなことには何も触れられてはなかった、だったんで少々残念ではあったんですが・・・。
小説オリジナル要素の“燈台守の子孫”というのは証明されたのか?とか、近親婚を繰り返した一族が遺伝的にどんな状態になっていたのか?とか、どう折り合いつけたのか見てみたかったんですが、後日談、洞窟の調査結果的なものは無しでした。
あと、一つ気になったのが、車で別荘に向かう一行が出会う、女に飢えたイカレ兄弟が何だったのか・・・。
食人一族の暗示ではあるんですが、なにか直接関係があるのかと邪推していたんですが・・・。
と、いうわけで、ここまで読んじゃった人に対して言うのもなんですが、冒頭の序文はネタバレしてるんで忠告通り先に読まないことをお勧めします。(もちろん、巻末の解説もね)
それとこの話、「オフスプリング」っていう続編あるんですね。
どうやったら続きが出来るのか判りませんが、気にはなります。(もう、読まないかな・・・)
さらに、やっぱり映画になってるんですね。(頓挫してるのかな?)
アメリカってバカですね~。
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- 2010/05/09(日) 05:58:55|
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