ファイヤーマンが巨大なハーモニカを乱れ吹く話。
主な登場人物
「岬 大介(ミサキー)」(誠直也)21歳。元地質考古学研究室勤務。実はアバン大陸人で地底人。マグマエネルギーでファイヤーマンに変身。燃える男。意外に平山浩行似。
「海野(うんの)軍八」(睦五郎)40歳。SAF隊長。海洋学と生物学の権威。元海洋開発センター勤務。リーダーの才覚あり。「たけしくん、ハイ!」でたけしの幼少期を演じた小磯勝弥似。躊躇しない男。
「水島三郎」(岸田森)28歳。SAF副隊長。宇宙工学博士。元宇宙開発センター研究室所長。沈着冷静でそそっかしい変わり者。小ボケ多し。
「千葉 太」(平泉征)25歳。工学博士。シーマリン号設計者。肉体派。岬の友達的存在。完全なお笑い担当。アフロを被るとアダモステ似。
「葉山マリ子」(栗原啓子)20歳。プログラマー。海野の助手。超記憶力の持ち主、らしいが今のところ素振りもなし。セリフは棒。
大都会新宿の喧騒、一見清潔そうなビル街傍らには積みあがるゴミの山。
場面は変わり世田谷辺りの住宅街。半ズボンの小学生がせっせとゴミを漁る。
ゴミ収集車を追いかけ、処理場のおっさんに談判してまで探し出そうとしている物は、母親が捨ててしまった壊れたハーモニカ。
騒ぎを見ていた岬は少年の話を聞いてやる。
「買ってやろうか?」と岬が親切心の押し売りをしても「僕が吹いてやらないとアイツが可哀想なんだ」と聞かず、夢の島で到底不可能な宝探しを始めることに・・・。
そびえ立つゴミの中、無許可のままあてどないハーモニカ探しを闇雲に続ける岬と少年。
いつしか諦めてしまうと慰めにキャッチボールに興じる。
少年を実家である果物屋に送ると、少年は学校を勝手に休んでいたので母親はカンカン。
が、少年は意に介さず、初めに下手に出てしまったせいでか不遜とも思える物言いで「明日も来いよ」とリンゴを岬に投げて寄こす。
“男と男の約束”をした岬はマリンカーの中でほくそえむ。
夜、異常な振動の続く中、夢の島から大量のゴミが吹き上がる。
街は夢の島を中心に一面のゴミと化し建物も倒壊。
翌日の本部、マリちゃんが入れたコンソールのトグルスイッチを海野が再度入れ直し、調査に行っていたモグリアンの岬と千葉に戻るよう指示するが、岬は“男と男の約束”があるため指示を無視。(前日のゴミ漁りのとき不穏なものを感じていたことも手伝ってはいる)
その頃、少年は部屋のドアノブと壁の穴に通した荷造りひもを母親に結ばれ、部屋に閉じ込められる。
ガッツリ待ってしまった岬はゴミに腰かけ夕日に向かって黄昏る。
日も暮れ、すっかり真っ暗になって我に返る岬。
悲しげな音(というか気配)を再び感じ辺りを探っていると、突如屹立する銀の柱。その側面に穿たれた穴から噴出す暴風にゴミごと吹き飛ばされてしまう岬。
思わず変身する岬。花吹雪の如くゴミが舞う中、薄暗いフットライトでもんどりうつファイヤーマンはなかなか。
よく見ると銀の物体は巨大なハーモニカ(動くとふにゃふにゃ)であり、吹き口から吹かれ吸われしされ苦闘。
早くもフラッシュとダッシュをかますも吸収され、そのエネルギーを逆に浴びせられ焦がされる。(お前は火に強いのか弱いのか・・・)
ガスコンロの如く青い炎を噴出すハーモニカに周辺は火の海。
どうやら気絶していたらしい岬は気が付いたら朝。
即SAFに昨夜の報告を入れると、「夜にだけ現れる特徴から太陽が苦手」よって「大量の熱エネルギーを放射する」という作戦が水島から安易に即答で立案される。「熱なら充分伝えましたが」とひと言助言してやればいいのに、詳細は話さなかったらしい。
その後、巨大ハーモニカの出す音が「ゴミの恨みの音」に聞こえると海野に告げると「それでも君は科学者かね!!」と大目玉。
SAFではこの程度で大目玉なのだからかなり優しい組織と言わざるを得ない。
これがTACなら、そもそもの「巨大なハーモニカが出た」という報告自体信じてもらえないうえ、「お前は疲れている」と休暇という体のいい謹慎を食らうのがオチ。
海野にたしなめられ苦い顔で帰ろうとするところに、監禁された家から抜け出してきた少年がやってくる。
「ハーモニカ見つかった?」とせっつくが「まだだ」と岬。壊れた箇所の確認などをし、ハーモニカを吹いたことがないという岬に「お兄ちゃんが吹いてくれたら、アイツも喜ぶ」と、見つかったら吹かせてもらう約束をする。
再度夜。マリンゴンで出た岬と千葉はふにゃふにゃと現れたハーモニカに熱エネルギーミサイルを浴びせるも効果なく返り討ち。(そりゃそうだろう)
千葉が頭を割って気絶する中、岬はファイヤーマンになってふにゃふにゃと対決。
千葉はマリンカーで駆けつけた海野に後部座席で頭を抱えられ「大丈夫か」とやさしく介抱を受ける。
かいがいしく血を拭ってやる海野のやさしさの方向性がなんだか不気味。
ふにゃふにゃをファイヤーマンにまかせ、SAFは一時退却。
ハーモニカのふにゃふにゃ攻撃を食らっていると、いつの間にか周りにはコントラバスやシンバル、サックスなど巨大楽器仲間が勢ぞろい。その現代音楽のようなフリージャズのようなデタラメ演奏にのたうつファイヤーマン。
ひとしきりファイヤーマンのコンテンポラリーダンスが続くと、この現象が捨てられた楽器の悲しみによるものと判断し、その恨みを鎮めるため、おもむろにハープを爪弾き始める。(!)
音を出すたび楽器は減っていき、最終的にふにゃふにゃ1本になり、一対一になると軽く前衛舞踏をし、担ぐと身体を揺すりながら「遠き山に日は落ちて」を吹き出すファイヤーマン。
1音ごとにハーモニカのサイズが小さくなり、ファイヤーマンサイズではなくなるとファイヤーマンごと小さくなってゆく。
最後には等身大の岬となり、吹いたことない割には両手で包み悦に入って演奏に没頭する。
本部では岬のハーモニカ演奏に凝然。
死んだと思っていた千葉はハナ肇の顔で喜び、水島は何が起こったのか不思議がる。
岬は「ハーモニカの心が訴えていたんですよ!!」と笑顔で返答すると、すかさず「誰かさんと誰かさん(故郷の空)」を吹き始める。
海野は「科学の通用しない怪物の出現。これは人間に対しての重大な警告だな」「物質文明が人間の頸を絞めている」「今に我々はゴミに食われてしまうかもしれないぞ」と至極まっとうなことを言う。
夜のゴミの山で無心にハーモニカを演奏する岬の映像に牧歌的な草原や子供の映像がオーバーラップし、そのまま朝まで吹き続けていたのか辺りがすっかり明るくなると果物屋の少年が駈けてくる。
だらしなく破顔した岬が少年のハーモニカを誇示するように見せつけるとEND。
シュールでファンタジック。「帰りマン」にもあったゴミ問題テーマの1本。
巨大な楽器をファイヤーマンが吹いたりとトンでも映像連発であったが、この手の話としては出来がいい方だと思った。少年の私生活がもっと描かれていればより良くなったはず。
映像的な見所も多く、ミニチュア全般の力の入りようや、ふにゃふにゃのハーモニカなど作り物関係も面白い。
よくよく考えると、伏線の回収も全然出来てないし「何だコリャ」って感じもするが、じっくり見たら面白く見られてしまった。
他、気付いたことといえば、岬のセリフのイントネーションがグダグダだったことぐらいか。
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- 2010/12/20(月) 06:34:18|
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