
続けて読んでいる、文庫版諸星コミック。今回は、『妖怪ハンター 天の巻』です。
さすがに、これだけ同系統の話が続くと、だんだん話し作りの骨子が判ってきますが、似たような展開であってもやっぱり凄いですね。独創性が他に類がない感じがします。
元に資料としての本や論文があったにしても、それらを独自の自説で縦横に結び付け、あまつさえエンターテインメントに仕立てるのは容易ならざる手腕だなと。
で、『天の巻』ですが、「花咲爺論序説」から始まり「天孫降臨」へと繋がる、美加と薫兄妹の話がとにかく凄い。
85年の日航機墜落事故をモチーフにしてスタートしますが、それを85年に描いてしまっているという事実。
「花咲爺さん」、「瓜子姫」等の昔話から神話に繋げ、それぞれのエピソードが再び繰り返されるエンターテインメント。
主軸に据えている、“生命の木”もいいですね。日本の神話も飛び越えていてワクワクします。
「天孫降臨」までの一連の作品は、絵の表現としても一段ステップアップしてる感じがしますね。
見やすいですし、大ゴマや、描き込みも十分で、それまでのシリーズより丁寧な気がします。
「黄泉からの声」も凄く面白いんですが、こちらは一転雑ですね。特に終盤が殴り書きっぽい。
それでも、皿屋敷の怪談と童謡と神話、怨霊が繋がるあたりが一筋縄ではいかない面白さ。
大きくなった、美加の活躍もいいです。
最後の「天神さま」は、他の文庫にも収録されていたので、読まないことにしようかとも思ったんですが・・・、読んだら、鞍土駅のシーンですでに稗田が登場していることを発見。(笑)
どれもこれも、他の漫画家だったら、ひとつふたつのエピソードで本1冊にするぐらいの濃いネタで、しかもそんなネタが1話分につるべ打ち状態。(笑) なんで、非常に矢継ぎ早に話が進んでいく感じがあって、正直もったいない気もするし、キャラクターの掘り下げやドラマが足りないかな、とも感じますが、強引とも思えるそれらのネタを次々に見せられていると、そんなことどうでもいいぐらいの面白さでお腹いっぱい。
いやぁ、もっと読みたいですね。
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- 2013/10/27(日) 05:23:09|
- 本、コミック感想
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