
これも、かなり前に買っておいてようやく読み終えたもの。
いつも見てるブログで紹介されていて、たまたま本屋に行ったら見つけて、今の時代としては、かなり安い値段設定に即、入手。
内容的には、松本氏の画業60周年記念の本で、人生全体を俯瞰するスタイルなんで、そこまでマニアックな濃い内容ではないと思うんですが、凄く楽しめました。(氏のマンガ読んだことないって人にはうってつけ)
冒頭に最初期の『ハーロック』、後半に、デビュー作『蜜蜂の冒険』と最初期の『エメラルダス』のコミックが再録されていて、関係者のインタビューも各種。(どれも貴重で面白いと思いました)
それと、本人のインタビューやエッセイ記事なども多数抜粋再録されています。
作品点数が膨大なんで、カラーページも豊富ですが、すべてという訳にはいかず、要所要所の代表作の紹介にとどまりますが、それでも堪能できますね。
ほぼ『999』しか読んだことないんですが、あらためて作品の一端に触れてみると、凄く上手いなと。
特に、「漫画家も自分の文体を持て」というだけあって、非常に文章が巧い。
エッセイなんかも凄く巧みで、テーマとやや離れたエピソードのディティールを丹念に書いていくうち、時代や空気感に引き込まれ、エピソードを重ねていると、いつのまにかテーマに入り込んでいて、やがて味わい深く終わる。
これって、氏が描いてるマンガそのものですよね。 ものにもよりますが、流れるように始まって、何となく哀愁に包まれて終わっていく、みたいな。
それと、半生を読んでいて感じたのが、強いコンプレックス。
もちろん、田舎に住んでいることとか、金がないとか、認められないとか、容姿の問題とか、様々なんですが、これがすべてバネとなり活力となってる。
そのうえ、技術と実行力と猛烈な頑固さの意志力。 初めから東京近郊に住んでる者には、それだけで勝ち目がない気がする。
そのなかでも、容姿のコンプレックスの強さはハンパではなく、好きに描くことに目覚めてからは、研ナオコの歌じゃないけど、ブ男の悲哀が凄い。 それが結果的に作家としても真に成功していくきっかけになっている、なんて聞くと、今更ながら『男おいどん』が読みたくなってくるじゃないですか。
ただ、『男おいどん』キッタナいんだよなぁ・・・・・・。 インキンの話だし。
それにしても、サルマタケほんとに喰わされたちばてつやは可哀想だな。(元気そうだからいいけど)
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テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌
- 2015/08/15(土) 02:00:45|
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