
日本神話の謎の神、ヒルコについての本を読んでみました。
もちろん、諸星大二郎の『妖怪ハンター』を読んで興味を持ったからだったんですが、
Amazonで次々買う本に埋もれて(梱包されたまま積んでる)、読む機会を逸してるうちに2年の月日が・・・・・・。
しかも、今調べたら、増補版が出てるという。 (うわぁ~~)
まあ、それはいいとして、内容ですが、コレが面白い。
いきなり、まえがきの一行目から驚きでのめり込んでしまう。
具体的には、ヒルコの正体を明かすと同時に、古代日本にやってきた神々は、
実際には何処から来たのかというルーツ探しになっている。
ヒルコと蛭子の関係、恵比寿信仰と海人(あま)族との関係、ヒルメ、ヒルコの関係、その後も、
太伯、ニウツヒメ、ワカヒルメ、銅鐸の謎、北辰信仰、と来て、最終的に、キーになるスサノオに至り、
全体像がすべて繋がるという具合。
終盤、コレとコレがイコールというのが、いくつか説明不足な気もするけど、よくよく照らし合わせると、
扱いや物語が似ており、なるほどそうなるかと思える。
序盤ほど詳細に説明があって、後半に行くにしたがって飛ばし気味なんで、
まったく『記』『紀』の知識がない人には若干つらい部分もあるかもしれない。
諸星ファンの人には、氏のマンガ読んでるだけでもだいぶ理解しやすいとは思うけど。
(自分もそのたぐい)
で、本来の内容も面白いんですが、それ以外でも、読んでよかったなと思うのは、初めて知る知識の多いこと。
卑弥呼や、邪馬台国という表記が、中華思想によって、卑字・凶字を与えられていたことや、
神仏習合の結果、本地垂迹説(仏がほかの姿で現れる)が唱えられ、本来の日本の神の姿が曖昧になっていること、
それに伴って、神社を“権現”というのは、神が仮に姿で現れた、という、仏教側からの言い方で、
それに対抗した言い方が“明神”だということ、などなど。
そのほかに、日本の神話や、日本人のルーツを、定説から故意に捻じ曲げようとする、
最近になってから現れた俗説などは、現物の資料でもってことごとく論破している。
こういった知識が得られるだけでも十分読む価値はあると思う。
興味のある方は、手に取ってみることをお勧めします。
(それにしても、何処を増補したのかなぁ)
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テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌
- 2016/01/03(日) 01:24:27|
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