ベガ、リデザイン3回目です。
画像は、『AKIRA』1巻表紙。 この画像だけでも、髪のハイライトの入れ方、
鼻から口にかけての立体的表現、斜めから見たときにアゴのラインを描かない、
背景の汚し、影を青系で平面処理、カラーにリキテックスを使う、などなど、
大量に後人への影響が見て取れる今回は、予告通り、大友克洋について。
今回の企画の発端である、角川アニメ版ベガをデザインしたその人ですね。
これはもう、『幻魔』だからとか、ベガだから、というよりは、デザインしたのが大友克洋だったから、が、とにかく大きい。
その当時、大友のことは知りませんでしたが、(ベガに限らず)その絵のインパクトが強力で、
感化されるのに時間は掛かりませんでした。
大友の出現は、業界全体が同印象で、その影響は計り知れず、大量のクローンを出現させただけではなく、
あきらかに、時代の区分になった感じでした。 いわゆる、「大友以前、大友以後」というやつですね。
簡単なプロフィールを紹介しときますと、
1954年、宮城県生まれ。
73年に『漫画アクション』でデビュー。
海外の名作小説のコミカライズあたりからキャリアをスタートさせ、70年代は、主に短編中心に発表。
作風は、70年代アメリカンニューシネマ的な“しらけ(無関心、無感動)”が支配的ながら、ハードボイルド、人情話、
ナンセンスギャグにホラー風など様々なものを、身も蓋もないようなリアルな描写と描線で描いてました。
(『AKIRA』をななめ読みしただけ、ぐらいの人だと、「大友って絵は凄いけど、話は書けんの?」って思ってると思いますが、
個人的には、話も上手いと思いますけどね。 あと、絵の上手さに溺れず、小説や映画など広範囲に勉強してるふうです)
その後、70年代後半になると、安部公房的な不条理作品が増え、79年あたりから本格的にSFを描き始め、
同時期、メビウス(フランスの漫画家、ジャン・ジロー)にも影響を受ける。
このころ描いたのが、大友版SF三部作ともいえる、『Fire-ball』、『童夢』と、その後、超大作に膨れ上がる『AKIRA』。
それぞれ、超能力が絡む話で、どれも、いままで見たことのない表現で描かれていて、デッサン力、緻密さ、らしさ、
に加えて、カメラワークや構図、演出(まあ、全てですが)まで、衝撃といっていい出来で、1冊に纏まってるという意味では、
『童夢』がとにかく白眉。 完全な映画体験が出来る。
このあたりの解説は、詳しくは、この2本の動画で。
「AKIRA」の大友克洋氏仏漫画祭で最優秀賞!漫画とアニメの世界を全て先取りした「童夢」そのスゴさBSマンガ夜話 「童夢」 大友克洋 (1996年)ちなみに、この3作、それぞれ、先人の巨匠たちにオマージュが捧げられていて、『Fire-ball』が手塚の『アトム』、
『童夢』が石ノ森の『さるとびエッちゃん』、『AKIRA』が横山の『鉄人28号』から、なんらかの設定なりが取り入れられている。
(こう書くと、なんだパクリかよ、とか言い出す人がいますが、全然違うんでひとつ)
それ以外の後進への影響で顕著なものは、コンクリート等の汚しと壊れ方。(このへんはメビウスからの影響もあるかと)
それと、球体に表現されるエネルギー。
あったりまえじゃん、と思われるだろうけど、大友は、これを目に見えない力の表現にも使った。
とにかく、過去の人が考え付かないことを事も無げに繰り出してきて、読んだ人はみなビックリだったんだけど、
たぶん、本人はある程度当たり前のこととして表現してるんだと思う。
なんせ、絵に関していうと、ちょっと人とは違った感性で見たり描いたりしていて、
ちょと見ただけで、ビルの壁面の機械を覚えていて、だいぶ経ってからそれを描いてみたり、
頭の中でものを回転させて、あらゆる角度から再現できたり。
江戸の風景を俯瞰で描きながらインタビューを受けていて、あんまりミスなく高速で描いてるんで、
思わず、「間違えることないんですか」的なことをインタビュアーが聞いたら、
「自分で勝手に描いてるだけなのに間違えるも何もないじゃん」って大笑い。
たぶん、生まれ付き、サヴァン的な空間把握能力に長けてるんだと思う。(そう思わないとやってられん)
自分への影響としては、89年の手塚の死までは影響大。
完全に大友とメビウスが絵に関しての2本柱でした。(若干、メビウスよりか)
手塚が亡くなってからは、手塚作品にあらためて触れる機会が増え、よりシンプルな絵に移行。
(じゃないと、1人でマンガを描くのが大変だからという理由も多分にあり)
その後は、アメコミに影響受けたり、また最近はリアル方向に振れてきてますが、
大友に関しては、その89年を境に、本人がアニメの方に行ってマンガを描かなくなったというのもあって、
作品なども買わなくなってしまいました。
たま~にイラストが載ったりすると、長くひとつの作品に関わってるせいなのか、
才能が停滞してると感じちゃったりもして、そんなときはちょっと複雑で残念でした。
(最近、また活動が活発になってきている兆しがあるので、期待感は以前よりありますが)
話を戻しますと、『童夢』の単行本用の加筆をしている最中であろう、82年(~83年)に受けたのが、
映画、『幻魔大戦』のキャラクターデザインということで、やっと本題のベガの話に入りますが、
長くなりすぎたので、以下次回。
つづく。
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テーマ:自作イラスト(二次創作) - ジャンル:アニメ・コミック
- 2016/05/19(木) 07:52:18|
- ベガ(幻魔) リデザイン
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