
バンダイのデザイナーで天皇とも称された村上克司氏の経歴をまとめた本です。
本を知ったきっかけは忘れましたが、昨今の画集発売による再評価よりはずっと前だったかと。
(この本自体は2009年発行。雑誌連載は、『電撃ホビーマガジン』で07~08年)
で、読んだ感想はですね。
すげぇ~、面白かった。
アニメ特撮のトリビア的裏側、物のデザインが決まるまでの経緯、
一人の人物の成功譚としての読み物的面白さ。
特に、ジャンル物のデザイナーとしての金言格言が的を射ていて頷くことしきり。
非常に勉強にもなる内容でした。
世代的にもドンピシャで、あんまオモチャ持ってなかった自分でも、これもか、あれもか、と、
あまりの多さにクラクラするほど。
超合金を立ち上げ、『ライディーン』で、<作品から玩具>、の流れが逆転してからは破竹の勢い。
それはもう、凄いですよ。なんせ成功しまくりですから誰も文句が言えません。
結果として、ロボットアニメが発展し、実写にも及んで戦隊にもロボが出てくると。
そして、内容と合致しなくてもロボットのギミック優先で押し付けられるようになる・・・・・・。
ここまでくるとお判りでしょうが、天皇という別名はある意味ディスってるんですね。
制作者側から見ても、成長した消費者から見ても嫌ってる人、敵対心持ってる人が多いんです。
いろんなロボットのオモチャにいつまでもロケットパンチ付いてたのこの人のせいですし、
自分の好みでしかデザインしないんで非常にモチーフや基本デザインに偏りが多いし。
でも、作品点数が多いぶん傑作デザインも多くて、『ライディーン』の原案、『コンバトラーV』、
『ゴーディアン』や『ゴッドマーズ』、特撮では、『17』、『レオパルドン』に初期戦隊ロボ等々。
それ以外の功績では、戦隊のフォーマット自体やヒーローのデザイン。
自分としては、ロボットよりヒーローにより傑作が多い気がして、『デンジマン』、『サンバルカン』、
『ギャバン』等のメタルヒーローは今でも好きですし、特に『デンジマン』は出色の出来だと感じます。
と、功もあれば罪あったりする氏ですが、いまのキャラクタービジネスの発展には、
なくてはならない存在だったのもたしかで、その作品もなにげにギミックの器用さとか、
日本人らしさのようなものが根底にあるのがよかったなとは思ったりします。
で、それ以外の読み物として面白かったのは、海外からの評価や繋がりで、
『ロボコップ』制作時に、ギャバンをモチーフにしたい旨をバーホーベンから手紙で貰っていたり。
シド・ミードと仲良くて、ミードがガンダム頼まれたときに困って相談したら、「私にもこんなデザインがある」
と、『ゴッドシグマ』みせてヒゲに太鼓判押してみたり。(・・・・・・お前だったのか、ヒゲを後押ししたの)
デザイナー同士でこんな繋がりがあったのかといちいち驚き。
ところで、読んでいて疑問に思ったのが、『マシンロボ』の部分で、『ダイアクロン』(のちの『トランスフォーマー』)
の後追いじゃなかったかと思ったんですが、やっぱりそうで、なんでそれに触れないかな、と。
本人的には『ゴールドライタン』とかやってたし、と違う考えだったのかもしれませんが、
そこまでおもねらなくても、ねぇ。
まっ、でも、読んで損なしです。
好きな人も嫌いな人もぜひ。(カラー版でね)
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テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌
- 2017/11/04(土) 06:12:15|
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