
またまたまたまた更に1章読んだので感想を。
ちなみに『聊斎志異』とは、中国の清時代に書かれた(集められた)怪談奇談集。
この『ザ・聊斎志異[聊斎志異全訳全一冊]』については、
前回以前の感想からどうぞ。
今回の5章目は、「物異の巻」。物は動植物の物。その精が人の姿で現れてといった類の話。
4章では、キツネという同じ動物が人の姿で出てくる話を集めた章でしたが、違うんですね、全く。
日本でもキツネ、タヌキ、ムジナは、化かす動物として喋ったりして別扱いですが、
それら以外の動植物といった感じです。
では、ここからは数話ピックアップしていこうと思います。
とにかく、今までに増して面白く、奇想天外な話ばかりなんで、
説明は簡潔に数は多めに行きたいと思います。
まずは、「齊天大聖(せいてんたいせい)」。
ご存じ孫悟空の出てくる話で、中国では非常に敬われているのに、
架空のキャラじゃないかとバカにしていた男が罰を受け、最終的に改心するまでの話。
別人に化けて術を見せ、「今のが、所謂筋斗雲さ」とさりげなく正体を明かすところが非常にカッコいい。
実にイケメンの悟空。
次は、「大人(たいじん)」。
中国の僻地、雲南に10メートルぐらいの巨人が出る話。
旅人が馬を手掴みで食われ、全員メザシのように頬を枝で絡げられ持ち帰られそうになるが、
運よく逃げられ、穴倉であった人の妹に助けられるのだが、その妹が凄まじい。
獲物のトラを2匹担いで帰ってきて、即200キロ以上のハンマーを持って痛めつけて戻ってくる。
巨人は2匹、切り落とした指は腿ほどあった。
「蓮花公主(れんかこうしゅ)」。
突然、隣人だと名乗る王様の王宮で歓待を受ける男。
姫を紹介されたりしつつ飲み食いしてると、突如、国の存亡を賭けるような敵の侵攻。
大蛇が迫り驚天動地の大騒ぎで、目が覚めると自室の中。
実は、隣家にある、ヘビに襲われた巣を助けて、という蜂のお願いだったというオチ。
目が覚めるまでは、アニメでも始まりそうな展開。
「素秋(そしゅう)」。
旧家の息子が試験を受けに行った先で知り合った若い貧乏兄妹と懇意になり一緒に帰る。
その後、2人を加えた生活が続くが、意を決して受けた試験に貧乏兄妹の兄が落ちるとショック死。
開けるなといわれたお棺を開けると、そこには何と、30センチの巨大紙魚(しみ)!!
その後は、妹の嫁ぐ話や裁判沙汰の災難、戦火を逃れたりの6ページの大長編。
とにかく、兄の正体が巨大紙魚だったのがインパクト大。怖い。
「五通(ごつう)」。
五通というのは、南方の祟りで、化け物が5匹ということ。
この5兄弟がそろって女好きと見えて、あちこちで見初めては無理やり暴行を繰り返す。
これが非常に生々しく具体的で成人向けエロ漫画並み。
やがて、勇猛な男が現れ4匹まで退治されるのだが、正体は、ロバと馬とブタと水の怪物。
被害者の傷が治るのを見計らって来るのがまたリアル。
「噴水(ふんすい)」。
ある役人の家の庭でブウブウ水を噴くような音がするので、夫人が調べさせると、
そこには、あちこちに無限に水を吐く白髪の婆。
下女と揃って窓の穴から覗いていると、突然、窓に駆け寄りブウゥゥ!! で3人即死。
翌朝、息を吹き返した下女に真相を聞き、庭の婆の居た場所を掘るとその通りの婆が出土。
死体をいたぶると中身はすべて毒液だった。
意味不明な話が一番怖い。
といった感じの「物異の巻」でしたが、ほかの話も甲乙つけがたい奇譚ばかり。
かなり読み慣れたこともあって凄く面白く感じられました。
ちなみに、読み始めてすぐほかに読みたい本が出て来てしまい、
かなり急いで読んだんですが、急げたところが成長の証ですよ。(笑)
実際、急げたし。
まあ、前章と同じぐらい短い章だったっていうのもありますけど。
実は、次で最後の章。
長かった『聊斎志異』の旅も終わりが近づいてます。
いやぁ~、でもまだ面白んだよな。
凄いよな実際。
ではまた。
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テーマ:読んだ本の感想等 - ジャンル:小説・文学
- 2020/09/18(金) 10:24:02|
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