
これは、何かをアマゾンで買ったか調べたときに一緒に出て来たもの。
初めは、いいかな、と思ってたんですが、結局、気になって購入。
で、初めはそんな感じだったんですが、
実は、読むのをけっこう楽しみにしてた1冊だったんですよね。
というのも、タイトルから判る通り、リズムに関しての本ですから、
昔の、名前は知ってるけど、いまいち具体的に説明できない、
マイナーなリズムを解説してくれているに違いないと思ったんで。
で、読み始めてしばらくしたら、んん? これは、思ってたのと違うのか~?? と。
もちろん色んなリズムは出てくるんですが、社会学的と言いますか、
世間との関わり、どう受け入れられていったかがメインで、
音楽理論的なリズムの解説は、ほぼなし。(ドドンパだけはやたら詳しいですが)
だから、ルンバとマンボの違いやバイヨンがどんなリズムなのかとかは自分で調べない限り皆目・・・。
んん~~、そういった意味ではガッカリ。
で、ですね、著者は、大学の先生なんで、新書として読みやすく、とは心がけてるんでしょうが、論文調です。
正直、断り書きが長い。
そして、公平だの、全体を俯瞰でだの、何かに肩入れせず的に言ってる人に限って逆だったり。
最近読んだ、似たような、文献を調べつくしてサブカルの歴史をつまびらかにするタイプの本では(別作者)、
目的があって、それを証明するために実は書いているのが透けて見えていて、
いや、自説を盛り込んで論文を書くのは当たり前ですから、それ自体は問題ないんですが、
好きなものの権威を復活させたいとか、アピールしたいとか、
それまでの価値観を自分の信じる風に転倒させたいみたいな目的で、
しかも、ライバルを立てて、そちらを悪く言うような展開の仕方というのは感心できません。
この本でいえば、この著者は、生粋のラテン好きで原理主義的に好きらしいです。
なので、身体的な(ダンス等)つながりのない音楽はつまらないと。
権威主義的で大人しく鑑賞するタイプのクラシックのようなアカデミックなものは嫌いだと。
で、ポピュラー音楽の中でも、ロックがライブ中心からアルバム制作中心になる過程がクラシック的ということで、
ロック中心の大衆音楽史自体が間違ってる。という展開で悪のライバル扱い。
たしかに、クラシック、ジャズ、ロックを含む大衆音楽、これらの中からラテンはこぼれ落ちてます。
ですけど、他が悪いというわけではないんでね。
あと、もう一つ問題点をいうと、この人も関西出身者独特の大阪至上主義的なものを感じます。
もちろん、これは、裏返せば東京が嫌いという意味です。
で、内容は、といいますと、ダンスにまつわる音楽が何時ごろから日本に入って普及していったか、ということですね。
なんですが、明らかに、昭和30年代のニューリズムシーンが好きで、その中でもドドンパがすこぶる好きという感じ。
隠しもせず滲み出しまくりなんですから、タイトルも『ドドンパの逆襲!!』とかにすればピッタリだったのに。
ほとんど、ドドンパの本ですよ。 嫌いじゃないですけどね。
ただ、もちろん、丹念に調べてあるんで、各リズムのブームは詳細に判って、
しかも、知らない事実もたくさん。ドドンパが海外にまで伝播してたとは・・・。(こここそ詳しく調べて欲しかったが)
昭和とは言ってますが、最終的には、パラパラや氣志團、ゴールデンボンバーまでたどり着きます。
(この関係で、「矢島美容室は、とんねるずが80年代を引きずってるようで楽しめなかった」と言ってますが、
氣志團や金爆が昔を引きずってないとでも? そもそも自分が引き摺り倒してるのに、
それは単にとんねるずが嫌いなだけなんじゃないの???)
単にそれぞれのリズムがヒットしていった過程だけではなく、裏でどういう人物が動いていたか、
という、裏側の解説も豊富なんで、そういう方向が気になる方にもいいかと。
ということで、珍しく批判的ではありますが、読み物としては、偏りはありますが面白いです。
ちゃんと、理論的な解説があったらもう少し評価もアップしたんだけどな。
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テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌
- 2022/11/04(金) 07:19:55|
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