
加藤直之の画集の出来が良かったんで、同じぬえのクリエーターの本として期待しつつ購入。(大きさもいっしょ)
帯にもあるように「デザイナーとしての思考法を探る」ということで期待大。
しかも表紙は宇宙の戦士のパワードスーツ!!
ページ最初のイントロダクションでは、「デザイナーを夢見る人たちへ」と称して、同種の本としては今までに無いくらい強い口調で読み手に対して、この本の存在意義を示している。
「プロとアマチュアの違いはオリジナルを生み出せるかどうかであり、既存のデザインをアレンジしたようなものはバリエーション製作に過ぎず、プロのやることではない。
だから、宮武のデザインを通してこの本で発想法を学べ。」
という、それは、絵を描くものデザインをするものとして、もっとも知りたい部分であり、編集者の並々ならぬ情熱を感じさせるものになっている。
が、しかし、本編を読むと期待はあっさり裏切られる。
ハッキリ言ってガッカリである。(そもそも、単なる画集としても、宮武氏の業績からして非常に中途半端なラインナップ)
全部が全部ではないが、特に初めの方はイントロダクションで書かれていたようなことは読み取れない。
書いてないわけではないが、表面的で浅い内容のものばかり。
設定画を載せるだけならアニメ雑誌やムックがやっている。
それと、何が問題といって、宮武本人が本文を書いていないことが大問題。
本人に取材はしている様だが、カギカッコのコメントが定期的に入るだけではいかにも少ない。
本人に解説させれば、おのずと具体的な内容になり色々得るところも多かっただろうに。
裏話的トリビアはあるが(「テクノポリス21C」のロボットは元々着ぐるみの為のデザインだったとか)、「アニメだから線を減らした」とか、「実写だからディティールを増やした」では何の足しのもならない。
絵の見せ方もよくない。
発想法というならば、ラフから決定稿まで変遷を流れで見せなくては意味が無い。
それが出来ている章は「ダンバイン」(準備稿が載っているという意味では「舞HiME」「エンジェルリンクス」も)。
「ダンバイン」の章だけは特筆すべきところがある。
作品の内容が固まっていく過程と、それにつれてデザインが洗練されていく過程がよく判る。
この章だけはマル。
(個人的には好きだったフォウのデザインや合体プロセスが見られたのがよかった)
一番期待していた「宇宙の戦士」の章はひどい・・・。
編集者としては、宮武の仕事のさまざまなバリエーションを見せたくてもうけた章なんだと思うが、載っているのは88年のアニメ版のデザインで、元祖の小説版から10年たってリデザインするにあたりどうなったかという内容。
しかし、旧デザインとの比較も無いし、設定画を載せるだけでほとんど解説も無し・・・。
ここは是非、元祖のデザインが生まれるまでの変遷をじっくりラフから見たかった・・・。
あと、ページのわりに値段が高い気がする。
(そして何故かタイトル文字が手書きレタリング)
けなしまくって言うのもなんですが、興味のある方はどうぞ。
(立ち読みしてからの方がいいかな)
関係ないですが、ワンダバという言葉(よく知らなかったんですが、メカの発進(合体)プロセスのことをいうんですね)が「ダンバイン」の頃にすでにあったのが驚き。(設定画に宮武氏の直筆でワンダバと書いてある)
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- 2007/11/29(木) 00:17:12|
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