
始めに読んだ「つくれる!!オリジナル・ソング」で作った曲をMIDIで打つことにしたので、もうちょい詳しい本を読もうと買った2冊目の本がこれ。(同時にDominoの解説本も購入)
最初の本は、たまたま本屋で手に取ったものを買っただけだったので、2冊目は一応定番のものにしようとAmazonで売れてそうなものをチェック。
シリーズには「MIDI入門」などもありますが、まだ基本の作曲だろうということでこれ。
前の本が、“メロディにコードと歌詞を付ける”ということに特化して書かれていたので、それ以外の“ドラム”、“ベース”、“アレンジ”について書かれているのは、同じ初心者向け作曲本としては魅力。
たしかに、その部分では勉強になることも多かったです。
が、メインである作曲についてはどうなのか・・・・・・と、いうと・・・。
タイトルにもある「裏口」という部分が曲者で・・・・・、「つくれる!!オリジナル・ソング」とは正反対の本であることが最終的に判明。
端的に言うと、「負の臭い」がする本です。
あたまの「はじめに」の部分で、「作曲が難しいと思われているのは誤解」「コツを知れば誰でも出来る」と書いているのに、それ以降、「初心者のつまずく最難関はメロディ作り」というアプローチからか、ことさらに「メロディ作りは難しい」を連発、強調していてやる気を削がれる。というか「そんなに難しくて、特別才能がいることなんだ」と思わせられる。(別の作曲本を既に読んでいるので、そうは思いませんでしたが)
そもそも、本の作りが「~は難しい」「~はやってはいけない」「~は知らなくていい」と、知識と行動を制限して簡単だと思わせるように出来ているので、消極的にならざるを得ない。
この本の特徴、「裏口」の「裏口」たる所以を詳しく見ていくと・・・。
まず、作曲の工程が通常とは逆であるということ。
これは、難関「メロディ作り」を最後に持ってくることで、「メロディ作り」に掛かる負担を減らすため。
コードやリズムを先に作ってしまって、そこからハミ出さないようにメロを抽出しようということ。
作曲のやり方は人それぞれですから、これだけ聞くとこの時点では違和感ないように感じます。
基礎知識から始まって、スリーコードでの長調、短調のコード進行の作り方、各ジャンルの簡単なリズムの紹介、ベースのパターン紹介、と来て、メロディ作り、簡単なアレンジの仕方の流れです。
基礎知識は主に楽譜の読み方、メジャー、マイナーのスケール(CとAに限定)の紹介。
コード作りでは、主にスリーコードの役割解説(ほぼ、トライアドのダイアトニックのみ)。
リズムパターンとベースは、基本的に紹介した定番パターンを踏襲することを薦めている。
で、問題のメロディ作りですが・・・・、
また、始めに「難しい」「決まった手順は無い」「定番パターンなど無い」と念押し。
しかも、「残念ながら、メロディの作り方を理論的に説明することは出来ません」と、一旦サジを投げかけます。
しかし、それでは入門書じゃなくなってしまうので、もちろん作り方は載っているんですが、その作り方というのが・・・、
「スケール構成音を順に並べて、そこから不協和音を抜く」というやり方・・・・・。
なんスか、これ?
具体的にいうと、「スケールを順にド・レ・ミと並べる」、「アルペジオにして並べる」、「同音連打で並べる」という、(この本でいう)メロディっぽいとされる並べ方をして、そこからコード構成音とぶつかる不協和音を取り除いていき、あとはそれぞれのパートで組み合わせを変えていくという、「埋めてから抜く」というもの。
これで、果たして作曲したといえるのか・・・。
ここまで読んで、正直、驚いて、頭にきて、ゲンナリしました。
これが、売れてる本なのか・・・。
ここまでして作曲したい意味ってなんなのか・・・。
こんなの、絵画でいう「ボブロス画法」じゃないのか、と・・・。
何故、「あなたの考えた、どんなメロディでも曲になるんだよ」と、いってやれないのか。
作曲ってオリジナルのメロディを作ることが目的でしょ。
目的のない人がする物作りって、何。
絵でいえば、具象画を描きたい人が、描きたいものが具体的にないのに、決められた色でランダムに塗った色面から、「この境界線を結ぶとクジラになる」とかいって絵描いてるようなもんじゃない。
「人間描いて」って言われたらどうすんの?
まだ、ヘタでも一生懸命描いた人の絵の方が好感持てますよ。
はっきり言って、この本で作曲を覚えない方がいいといえます。
もちろん、作曲法以外では有用なこともたくさん書かれているので、読むなとはいいませんが、少なくとも初めて読む作曲本にはしない方がいいです。
ここまで批判して、さらに文句付けるのも気が引けますが・・・。
本としての作りもあまりよくはないですよね。
ひとつは、非常に同じ内容の繰り返しが多いということ。
章のあたまで書いたことが、見出し、本文、まとめと3回も4回も出てくる。
水増しのし過ぎで、多分重複をなくしたら3分の1は要らないかと。(もしかすると半分ぐらいには出来るかも)
それと、今回もう一度目を通してみて感じたのは、譜面の読み方やコードの仕組みなどの基礎知識を除くと、具体的なテクニックを紹介しているページは非常に少ない、ということ。
しょうがないのかもしれないが、独自のテクニックをもっと紹介してもいいのではないか。
あと気になったのが、裏口と銘打つにしては、「スケール」から覚えさせることや、絶対に「3コード」と呼ばずに「主要3和音」と書いていること、使い勝手のいいコードを教えるのではなく「ディグリー」で説明すること、コードネームはほとんど教えないこと、パソコンソフトの紹介も楽譜を打ち込むタイプだけだということ。
なにか、基礎、しかも楽典的なしっかりした基礎をほんとは教えたいような感じがプンプンする。
ポピュラー音楽限定なんだから、方向性が違う気がするが・・・。
ん~~、ほんとにこれ見てみんなDTMやってんのかな・・・。
自分にとっては、最初に読んだ作曲本が非常に判りやすくてすんなり入り込めたんで、あまりの教え方のギャップに驚いてるわけで、必要以上に批判しているのかも知れませんし、あくまで「裏口」なんだから、指摘はそもそも間違ってるのかもしれません。
でも、読んでみて違和感ありました。
これが正直なところ。
それと、上でも書いた同時に買った「Domino」の解説本というのが、「超カンタン!パソコンで作曲」という本で・・・・・・・・・、なんと著者が「裏口」の人と一緒。(笑)
内容は、ほぼ「Domino」と「Sound Engine」と「初音ミク」の説明書を書籍化したもの。
内容は推して知るべし。(「初音」部分は未読)
「Sound Engine」のハードディスク・レコーディングのところは非常に参考になりました。
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- 2009/11/08(日) 10:47:33|
- 作曲、音楽
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